The Invisible Clock - 肉眼では読めない時計 bookmark

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The Invisible Clock - 肉眼では読めない時計。創作時計シリーズの第二弾です。(第一弾:桁ごとに独立した時計)。
時計というものは時を刻むためにありますが、しかし一方で時計はそれ自身の存在が人の行動を縛るものでもあります。一分一秒を気にしながら動く現代人。彼らは時計に縛られ、時計に操られていると言っても過言ではありません。

では、「時を刻む」という機能をそのままに、時計から「人を縛る」役割を分離したらどうなるだろう?

そんな時計を作ってみました。

 
 

「肉眼では読めない」 bookmark

この時計は、肉眼では何も見えません。そこには、ただ黒い箱があるだけです。が、常に時は刻んでおり、そして人間の目には見えない形で時を表示しています。
では、この時計が表示している「時」を見たくなった場合はどうするか?

携帯電話のカメラなり、デジカメなりを向けると…

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そう、この時計は、人間の肉眼では何も見えませんが、機械の目には時が見えるのです。The Invisible Clock。

 
 

動画 bookmark

 
 

原理 bookmark

この時計は表示部が赤外線LEDで出来ており、赤外線で表示しています。これは人間の目では光っていることがまったくわかりません。が、たいていの一般的なデジカメは、実はこの光が写るのです。
ためしに、携帯のカメラなどで赤外線リモコンの発光部を撮ってみましょう。ボタンを押すごとにピカピカと赤外線が光っている様子が確認できると思います。

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開発の経緯 bookmark

この時計は、「ニコ生企画制作部」の定例オンラインミーティングで話し合われていたアイデアが元ネタとなっています。その時は、やはり「肉眼には見えない」が「カメラには写る」別の企画を検討していたのですが、聞いた瞬間に「時計に応用してみよう!」と思ったのがキッカケです。なんといってもこの無意味さがたまらない。
やろうと思ったら話は早く、特に何かを設計するでもなく普通に秋葉原で既存のキットを買ってきて作るだけです。ものの2~3時間で完成しました。

 
 

つくりかた bookmark

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同じものを作るのは簡単。ベースはエレキットデカデジクロック。このキットのLEDを赤外線LED100個に置き換えて普通に工作しただけです。もともと初心者用のキットだけあって、説明書も懇切丁寧、何の引っかかりもないまま素直に完成しました。やはり市販のキットだけあって、ケースもついておりただ作るだけでも完成度が高い!

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実際に作ってみると、カメラによって赤外線が意外とよく写らなかったり、写ったとしてもかなり暗く、時計正面からしかよく見えなかったりすることもありました。LED光拡散キャップもつけたほうがいいかもしれません。

 
 

余談 bookmark

「肉眼では見えない」ということを写真や動画で表現する方法をどうするか、実は作るまでずっと悩んでいたりしました。そう、「見えない」ということを撮りたくても撮ると写ってしまうのです!
合成や後処理でごまかすか、とりあえず電源切った筐体で撮るか…と考えていたら、いざ時計が完成してみると杞憂でしかありませんでした。Handycamの通常モード(ナイトショット=赤外線モード以外)では意外なほど赤外線が暗く写るのでした。どうやらカメラの赤外線フィルタが結構優秀みたいです。
そのためHandycamでは(光量が落ちる)時計正面以外から撮ると光っていることがほとんどわからないということが判明。動画はこの特性を利用して撮影しました。